不器用な関係
予感は現実のものになった


修了式も終わり、彼氏と待ち合わせの時間と泣き付く亜美に代わって日直なるものを引き受けた


教室を戸締まりして、溜まったゴミを体育館脇の焼却炉に捨てれば役目も終了


大きなごみ箱を持って焼却炉へ向かう途中で、同じくごみ箱を抱えた2年の女生徒2人とすれ違った


“やっぱり、冴嶋先輩の本命は朝子さんだったね~。”


“そりゃそうじゃん!朝子さん守るために別れたんだから”


ニヤニヤした目つきで私を流し見る彼女達は、わざと私に話しを聞かせたかったらしい


そんな彼女達を尻目に私は焼却炉へと足を速めた

無事に焼却炉へゴミを突っ込んで、来た道を戻ろうとしたその時


“渉じゃなきゃ駄目なの!”


かわいらしい声に、戻りかけていた足を逆に進めた


焼却炉の奥まった角から声のする方をそっと覗く

そこにいたのは、渉と小さくてふわふわした髪をなびかせている可愛らしい女の人だった


“もう、あの子と別れて?”


そう言って女の人は渉に泣きついた
渉は黙って彼女の背中に長い腕をまわす


渉の身体にすっぽりと包まれる彼女は、とても女の子らしくて第三者からみてもお似合いの二人だった


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