不器用な関係
夏休み初日の次の日
私はいつも以上に練習に没頭した


練習前に、昨日渉の胸で泣いていた彼女を体育館の入口で見かけた


視界には入ってないけど 男バスのコート側の2階応援席にいるだろう


雑念を振り払うように、無心でボールを放った


男バスと女バスはだいたい練習時間が一緒
今日は少し早く女バスが切り上げた


シャワーを浴びると、制服に着替えて東門へ向かう


門が見渡せる位置まで来ると、門の脇に渉が寄り掛かっているのが見えた

「お疲れ様。」


「あぁ。」


「話しって何?」


意図的に、いつもより距離を置いたまま渉に声をかけた


渉が門から私の方へ一歩踏み出したと同時に、私も一歩渉から離れる


私の行動は、少なからず渉を不快にさせたらしく 驚いてすぐに眉間にシワを寄せた


「話しは?」


そんな渉に構っていられない
校門をでた先に彼女の姿が見えたから


近づき過ぎると、最後に抱きしめて欲しいと望んでしまいそうだった



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