不器用な関係

彼女から後輩へ

時刻は７時
今日も東門で渉を待つ


通りに面してない東門から帰る生徒は少ない


門の脇の壁にもたれながら赤い手帳を取り出した

パラパラと紙をめくり、 今日の日付に目線を落とした


「今日は遅番か‥。」


看護士の母は今日は遅番のシフト
３日振りに回ってきた料理当番に小さなため息をつく


女手一つで私を育ててくれた母
その苦労は私が想像する以上だったと思う
だから、家事は交代制と言い出したのは 私が小学生の頃の話


そんな母を支えてくれる
男性を先週紹介された


母と待ち合わせをしたあの日


東條 光也さんという男性は、母と同じ病院に勤める医師だ
光也さんはバツイチ子持ち
生活時間が合わないことを理由に奥さんとは早くに離婚したらしい


光也さんには高校３年になる息子さんがいて、彼の名前は大和さん


二人とも気さくな人で、母もようやく幸せになれると喜んだ


その時の母の幸せそうな顔を思い出したら、ふっと口元が緩んでいた