君の笑顔を照らした花火
「ちょっとここで待ってて?」

出てすぐ、僕はそう言って美雪を待たせて、みんなの所に行った。



「美雪、大丈夫だった?」

真佐志が訊いてきた。



「うん」

僕はそう答えてから、線香花火を1束取り、近くにあった先が長くなっているライターを借りた。



美雪は、多分、火を怖がっている。

だから、一番光が小さい線香花火をしようと思った。



「ほら、美雪、花火持って来たよ?」



美雪が、ちょっと緊張しているのが分かった。

僕は美雪の前でしゃがみ込むと、美雪も同じようにしゃがんだ。

一瞬、そのまま美雪の前で火を点けようとしたけど、ちょっとだけ美雪に背を向けて後ろで火を点けて、落ちないように静かに美雪の方へ動かした。

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