君の笑顔を照らした花火
「ほら、美雪。『線香花火』って言うんだ、これ」



パチパチ

小さいけど元気良く、線香花火は輝いていた。



美雪はさっきのように震える事無く、ジーっとその光を見ていた。

その時、風が吹いて、火の玉がポトッと落ちた。



「あっ」

美雪は小さな声を上げた。



地面に落ちたその火の玉は、すぐに消えてしまった。



どうだったんだろう?

大丈夫?



しばらく地面を見ていた美雪だったけど、バッと急に顔を上げ、僕を見て言った。



「もう1回」



怖くなかったのか?

「うん」

今度は背を向けずに、美雪の前で線香花火に火を点けた。

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