君の笑顔を照らした花火
「これ、一緒にしよう?」

軽く俯いて俺を見てはくれなかったけど、手に持っていた物をグイッと俺に突き出しながら、美雪はそう言ってくれた。

美雪の持っていた物を見ると、線香花火だった。



初めてやった線香花火を、覚えてくれているのか?



「うん、やろう」

俺の返事で、一瞬、嬉しそうに笑って顔を上げたので、美雪と視線が合った。

まぁ、すぐにそらされたけど……今はそんなの、気にならなかった。



俺は美雪の手から線香花火を取ると、初めて一緒にした場所で、あの時と同じようにしゃがんで美雪を見た。

すると、美雪も気が付いて、あの時と同じ場所にしゃがんだ。



2人で1つずつ持って、火を点けた。

同じようなタイミングで、『パチパチ』と火花が弾ける線香花火。

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