君の笑顔を照らした花火
「思い出すなぁ」

無意識に、俺は呟いてしまった。



ハッとして美雪の様子を見ると、美雪も思い出していたのか、ちょっと照れくさそうにハニカんで笑った。




ドクン!




その笑顔に……あの時よりも激しく、心臓が鳴った。



美雪のこんな表情は、見た事が無い。

いつも俺に絡んで来ていた、あの幼かった『妹のような』美雪じゃない。

俺の知らない、『1人の女の子』としての美雪の表情だ。



まだ、小5だと思っていた。

けど、もう5才でもない。



これから、どんどん、1人の女の子として成長していくんだろう。

その過程を一番近くで見ていたい……そう思った。



俺は……美雪が好きなのか?

1人の女の子として……。



でも。

美雪は、きっと『兄的存在』として見ているんだろう。

なんとなく自覚した自分の気持ちだけど、美雪の気持ちも考えると自信が無くなって、俺は『多分、勘違いだ』と思う事にした。



   ☆   ☆   ☆

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