君の笑顔を照らした花火
「あっ、僚二。美雪ちゃんが、チョコ持って来てくれたわよ?」

お母さんが俺に気が付き、そう言った。



「僚二。これ、バレンタインのチョコ」

美雪は俺の方に、ラッピングされたチョコを差し出した。



受け取りたくない。

みんなと同じチョコなんて……。



「美雪」

「なーに?」

「ちょっと話があるんだ。俺の部屋に来ないか?」



一瞬、美雪が驚いた顔をした。

でも、すぐ、『コクン』と頷いた。



「お邪魔しまーす」

美雪がそう言って、靴を脱いで上がると。



「あらあら、じゃぁ、何か飲み物でも持って行くわね」

お母さんが慌てて台所へ行こうとした。



「あっ、俺が持って行くからいいよ。美雪、先に部屋で待ってて」

「うん、分かった」

美雪はそう答えて、何度も入った事のある俺の部屋へ向かった。

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