君の笑顔を照らした花火
「お待たせ」

「ううん」

俺が部屋へ入ってそう言うと、美雪は首を左右に振った。



「これ、どうぞ」

テーブルの上に、グラスを2つ置いた。



「ありがとう」

美雪はそう返事をしてから、『あっ』と何かを思い出した顔をした。



そして。

「はい、これ。僚二の分のチョコ」



ああ、チョコね。

久し振りに美雪と談笑する間も無く、本題に突入かぁ……。



「欲しくない」

俺がそう言うと、美雪の表情が変わった。

今にも泣きそうな、悲しげな顔。



言い方が冷たかったかも。

でも、本心だ。

だって……。

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