君の笑顔を照らした花火
「よっ、待ったか?」

そう言って走って来たのは、俺のイトコの涼兄。



「ごめん、涼兄。いろいろと忙しい時に」



俺が涼兄に憧れてバスケを始めたのを知っているから、涼兄は時々、俺にバスケを教えてくれた。

でも、今日はバスケを抜きにして、俺が『話したい事がある』と言って、涼兄に時間を作ってもらっていた。



1ヶ月後に1年間の留学で旅立つ涼兄。

いろいろ準備で忙しいのは分かっていたけど、俺の兄貴と言ってもいい人だから、直接話しておきたかった。



「最近、おまえの方が忙しくて、俺の事、構ってくれなくなったんだろう? 腹減った~。あそこでメシでも食いながら、久し振りにゆっくり語り合おうぜ?」

涼兄は俺の肩にガシッと腕を回し、近くに見えていたファミレスの方へ歩き始めた。



涼兄らしい、気遣い。

俺が貴重な時間割いてもらって恐縮しないように、さも、『自分は時間があるから大丈夫』と言う口調で安心させてくれる。



俺はバスケットプレーヤーとしてだけではなく、そんな涼兄に憧れていた。

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