君の笑顔を照らした花火
チラッと振り返ると、美雪は笑いながら俺の上着を畳んでいた。

そんな仕草すら、愛しくかんじる俺は、かなり重症かもしれない。



一体、いつからなんだろう?

俺の気持ちが、美雪だけ『特別の人』と思い始めたのは……。



改めて考えると……辿り着くのは、やっぱりあの日。



美雪が初めて花火をした時。

怖がっていた君が、線香花火を見て笑った瞬間。

俺の心臓が、小さく『トクン』と鳴ったのが始まりだったのかもしれない。



そうだ!

今日の帰り、美雪の家で花火をしよう。



あの日と同じ、線香花火。

あの淡い光に照らされる、君の笑顔を見てみたい。

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