ツナ&エマ〜カレーなる日曜日〜
彼は静かに立ち上がった。
視界が潤む。
決して彼が嫌いな訳じゃない。
嫌いじゃないけど、
『浮気』という行為を許せるほど
私の心は広くない。
一滴、涙が零れたとき
彼が振り向いた。
とっさのことだった。
抵抗する、間はあった。
でも出来なかった。
彼が『そんなこと』をするなんて
考えていなかったから。
思ってもみない出来事だったから。
私の右頬に、鋭い平手打ちが
飛んできたのは
彼が振り向いたすぐ後のことだった。