ツナ&エマ〜カレーなる日曜日〜
「かーすーみーぃ」
私の制止も聞かず、
家の前でチャイムを鳴らしながら
大声で叫ぶ。
しかも何回も。
ユズトくん。
いくら私が隣にいるからって
大声で、私の知らない女の人の名前を、
しかも下の名前を!!
叫ばないでよー…。
淋しくなるじゃない。
馬鹿。
バーカ。
中から物音がした。
赤い屋根のお家の表札には
『石川』って文字が。
…あれ?でもユズトくんの
初恋の人の名字って…石川じゃないよね?
ガチャガチャ音がする。
ぅうっ、名字なんてこの際どうでもいい!
私はユズトくんの後ろに隠れるようにして
ドッキンドッキンする心臓を片手で押さえて
左目を閉じて右目だけをドアに向けた。
ゆっくり、ゆっくりドアが開く。
そこから出て来たのは…
出て来たのは…
出て来た…のは?
…あれ。あれれれ?
誰、この人。