左回りの時計


目が覚める、いつも決まって同じ時間。
目覚まし時計の30秒前に、きっちりと起きてしまう。
ピピピピッと規則正しく耳障りな音が聞こえてくる…、
「目覚まし時計はあんまり好きじゃない。」
と友達に言ったら、
「なら携帯のアラームを使え」
と言われたコトがあったが、面倒くさいて設定していない。
何だかんだ言って僕は目覚まし時計が好きなんだ。

ベッドから起き上がってカーテンを開ける、午前6時の朝日は眠気眼にはちょっと明る過ぎるといつも思う。
そしてまだ寝跡がついたベッドを見て思う、
「今日も同じ夢を見た…」

そう言って夢を振り返ろうとしても出来ない、まるで夢を思い出そうとするのを遮断するように…。
夢の記憶は僕の頭から消えて無くなる…だけど寂しい気持ちと悲しい気持ちと不思議な気持ちだけは必ず残る、だから"同じ夢を見たんだ"と認識できる。
こんな生活を始めてから、もう…7年も経つだからこれが僕、冴葉トワの日常なんだ。



「トワくーん!ご飯出来てるわよー!」
「はーい!」

下の階からお義母さんの元気な声が聞こえて来る、制服に着替えてカバンを持ち下へと階段を降りて行く。











_
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop