大嫌いでも大好き 〜愛しの柴ハゲくん〜
とりあえずあたしは宏稀に携帯を
貸してもらい、お兄ちゃんに
電話することにした。
「・・・・もしもし・・?」
「ばっっっっかやろう!」
受話器の向こうからはお兄ちゃんの
怒鳴り声。
「お前、今日塾にも来ないでこんな時間まで
何処で何やってんだ!」
「うぅ、ごめんなさい。」
「謝ってすむ問題じゃねーだろっ!」
「・・・・・ほんと、ごめんなさい。」
「はぁ、まぁ今日はいいけど。母さん達
帰って来ないみたいだし
俺は彼女と一緒に泊まりだから、
お前はどうすんの?」
「何それっ!聞いてないよっ!」
「だって今言ったし。
まぁとりあえず家に帰って
勝手にしてろ。俺は彼女ん家
泊まるから。じゃあな。」
「えっ!ちょ、待ってよ、あたし、家の鍵
持ってないんだけど!」
「・・・・じゃあ、宏稀ん家でも
泊めてもらえ。じゃあな。」
お兄ちゃんはそれだけ言うと
電話を切ってしまった。