a square
胸元に、赤や黄の、小さい花が刺繍されていて、結構かわいい。
下に白のキャミソールを着ようと、引き出しを開ける。

「……ない?」

おかしい。絶対ここに入れたのに。
となると、犯人は一人しかいない。
私は、おそらく犯人であろう人物に、声をかける。

「尚夏。私の白いキャミ、知らない?」

「え? ちょっと待っ……あ」

振り向いて、尚夏の方をじっと見つめる。
尚夏は自分のクローゼットの引き出しから、一枚の白いキャミを取り出してきた。

「……もしや、これ?」

「当たり。なんでそっち入れてんの!」

尚夏から、半ば奪い取る形で、そのキャミを取り返す。

「だって、私のと似てるからさー。フリルがちょっと違うだけでしょ?」

たしかに、尚夏の言う通りだ。
尚夏の持っている白いキャミは、フリルが二段。私のは一段。パッと見は分かりづらい。

「そうだけど、言い訳しない」

「ごめんってばー」

笑いながら謝る尚夏。下着姿のまま(私もだけど)、クローゼット漁りを再開。

──このジーパンにしようかな。

そう思って、ジーパンを取り出したとき。

「ねえ、ミツ。私の黒いスカート、知らない?」

「え?」

黒いスカート、と聞いて、思い浮かぶのはただ一つ。
リバーシブルで、裏が白と黒のチェックになっている、裾がヒラヒラしたスカート。

「スカートなんて穿かないけど……」

そう言いつつも、一応探してみる。
すると、見つかった黒い塊。
取り出してみると、それは先ほど述べた特徴と、全く同じスカート。

「あ」

「あったんだね」

「すいませんでした! しかし見に覚えがありません!」

そう叫んだけど、尚夏の耳には届かなかったようだ。
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