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「うん、すごい仲良いよね! そりゃあ、そんな噂もたつよね! んで、どうなのさ、ミツは」

……え?
思ってたのと、全然違う回答だった。
でも、すぐ分かった。無理してる。
怪しまれる前に、私は質問に答える。

「私は全っ然、なんとも思ってないよ! どっちかっていうと、キヨ兄の方が好みだなー」

ちなみに、全て本当のことである。

「っていうか、噂でしょ? キヨ本人に訊かないと分かんないじゃん」

苦笑しながら私が言うと、玲菜がガタッと席を立つ。

「よし、私が訊いて来──」

「お座りなさい」

春が、玲菜の頭をパシッと叩く。いい漫才コンビだ。

「ま、でも石田姉妹と遠藤兄弟は、仲良いからねえ……。くっつきそうなもんだけど、双子ペア」

お茶を飲みながら、春が言った。

たしかに、私達姉妹と、あの兄弟は仲がいい。なんたって、生まれた時からずっと一緒なのだから。
家が隣同士で、親同士も仲が良くて、うちの母親は、「是非もらってやってくれ」とか言い出すほど。

私はお茶を飲んで、春の言葉を無視した。

──むしろ、小さい頃から一緒に居すぎて、恋愛感情なんかわき様が無いよ。

そう思って、チラッと尚夏を見た。
玲菜と楽しげに話している。

──尚夏は、いつからキヨが好きだったんだろう。

まあ、どうせ分からないか。
飲み干して、空になったペットボトルを机に置いた。

それを見た春が、

「あんた、一気飲みなんかして大丈夫? 次体育だよ?」

「……春さん、お茶……」

「恵まないよ?」

ニコッと笑いながら、春が言う。

「ですよねー」

恐らく、私は干乾びるだろう。
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