「呼吸」
限りなく腕を伸ばしてみる。後数センチだ。もう少し…と思った矢先、体全体の力が抜けた。
嗚呼、畜生…届かない。
朦朧とした意識の中で、
最後に君を想う。
せめて最後くらい、
君の顔を見たかった。
君の手を、肌を、温度を、
全ての君を感じてみたかった。
叶わぬ夢よ、と誰かが笑う。
周囲がかなり明るくなってきた。太陽の温度を感じる。温かい。
嗚呼、嗚呼、嗚呼…。
(さよなら)
「ピー………。」
3日後、君は涙ながらに
僕へ百合の花を添える。
▽ end.