繭虫の眠りかた
澄んだ空色の瞳が自分のほうを向いて、
どきりと胸が音を立てて、
「誰だ?」
そう尋ねてきた声は優しくて、
「私は、胡蝶」
「コチョウ?」
「この伊羽家の娘よ」
そう名乗った瞬間、
彼女を映す綺麗な瞳の中で、何かがざわりと蠢(うごめ)いたような気がしたけれど、
「そうかい。話には聞いてるよ、伊羽家には今年で十六になる娘がいるんだったな。じゃあ、俺はあんたの腹違いの弟ってことになるね。
はじめまして、姉上」
そんな風に話しかけてきた表情はやっぱり優しくて、
「弟……?」
これまで自分にこんな弟がいたなど聞いたこともなく、突然告げられた事実に戸惑いつつも、
どこか浮き世の人とはかけ離れたかんばせで微笑まれて、血の繋がった弟だというその少年に対してドキドキと胡蝶の胸は音を立てた。
「中に入ってきてくれないかな。姉上とゆっくりお話がしたい」
甘えるような声音も優しかった。
「姉上と仲良くしたいんだ」
そう囁く笑顔は、自分もこの少年と仲良くなりたいと思うには十分で、
だから
胡蝶は言われるままに格子の鍵を開けて、中へと入って
それなのに……
どきりと胸が音を立てて、
「誰だ?」
そう尋ねてきた声は優しくて、
「私は、胡蝶」
「コチョウ?」
「この伊羽家の娘よ」
そう名乗った瞬間、
彼女を映す綺麗な瞳の中で、何かがざわりと蠢(うごめ)いたような気がしたけれど、
「そうかい。話には聞いてるよ、伊羽家には今年で十六になる娘がいるんだったな。じゃあ、俺はあんたの腹違いの弟ってことになるね。
はじめまして、姉上」
そんな風に話しかけてきた表情はやっぱり優しくて、
「弟……?」
これまで自分にこんな弟がいたなど聞いたこともなく、突然告げられた事実に戸惑いつつも、
どこか浮き世の人とはかけ離れたかんばせで微笑まれて、血の繋がった弟だというその少年に対してドキドキと胡蝶の胸は音を立てた。
「中に入ってきてくれないかな。姉上とゆっくりお話がしたい」
甘えるような声音も優しかった。
「姉上と仲良くしたいんだ」
そう囁く笑顔は、自分もこの少年と仲良くなりたいと思うには十分で、
だから
胡蝶は言われるままに格子の鍵を開けて、中へと入って
それなのに……