繭虫の眠りかた
畳の上を進んで少年のそばに膳を置き、
少年と向き合うような格好でその場に正座して、
目の前の少年の不思議な容姿に、胡蝶はあらためて見とれた。
間近で眺める銀の髪や青い瞳も美しかったし、
既に子供から大人へと変化し始めている首から下の体つきや骨格で男だとわかるものの、少年の首から上の顔は息をのむほど整っていて、少女と見まごうように綺麗だった。
「この姿が珍しいですか、姉上」
肩から背へとこぼれ落ちる長い銀糸の髪を揺らし、少年が綺麗な顔でニッコリと笑みを作って尋ねてきて
初対面の相手に対して、あまりにジロジロと遠慮のない視線を注いでしまったと思って、胡蝶は頬を赤く染めながらうつむいた。
「あなたは……その……」
おずおずと口を開きかけると、
「異人ではありません」
胡蝶の心を読んだかのように、少年はそんな言葉を寄越してきた。
「私は混血ですよ、紅毛人との」
「混血──」
胡蝶は少年の口から放たれた単語を繰り返して、恐る恐る顔を上げた。
「あの、では、弟というのは……?」
胡蝶のその問いに対して、
「私はこの伊羽家の現当主サマと、紅毛人の妾だった母との間に生まれた子なのですよ」
優しい微笑を形作ったままの美しい顔はそう告白した。
「だからあなたとは腹違いの姉弟ということになるんだ、姉上サマ」
どこか冷ややかなものが潜んだ口調だった。
少年と向き合うような格好でその場に正座して、
目の前の少年の不思議な容姿に、胡蝶はあらためて見とれた。
間近で眺める銀の髪や青い瞳も美しかったし、
既に子供から大人へと変化し始めている首から下の体つきや骨格で男だとわかるものの、少年の首から上の顔は息をのむほど整っていて、少女と見まごうように綺麗だった。
「この姿が珍しいですか、姉上」
肩から背へとこぼれ落ちる長い銀糸の髪を揺らし、少年が綺麗な顔でニッコリと笑みを作って尋ねてきて
初対面の相手に対して、あまりにジロジロと遠慮のない視線を注いでしまったと思って、胡蝶は頬を赤く染めながらうつむいた。
「あなたは……その……」
おずおずと口を開きかけると、
「異人ではありません」
胡蝶の心を読んだかのように、少年はそんな言葉を寄越してきた。
「私は混血ですよ、紅毛人との」
「混血──」
胡蝶は少年の口から放たれた単語を繰り返して、恐る恐る顔を上げた。
「あの、では、弟というのは……?」
胡蝶のその問いに対して、
「私はこの伊羽家の現当主サマと、紅毛人の妾だった母との間に生まれた子なのですよ」
優しい微笑を形作ったままの美しい顔はそう告白した。
「だからあなたとは腹違いの姉弟ということになるんだ、姉上サマ」
どこか冷ややかなものが潜んだ口調だった。