セナの冒険
“私の息子 ロイドへ
久しぶり。
…あなたの記憶に私は居ないだろうから、はじめましてかしら?
あなたに手紙を書くのなんて初めてで、正直どう書けばいいのかわからないわ。
あなたが今この手紙を読んでるなら、もう私はあなたに会ったのね。
あなたが、いつこれを読んでくれるかはわからないけど…。
まず最初に、ごめんなさい。
あなたは何度も訪ねて来てくれたのに、私は一度も顔を見せなかった。
本当は、会いたかったの。
すごく。
この手で抱きしめたかった。
どれだけ成長したか、見たかった。
色んな話を聞きたかった。
でも会えなかった。
他のあなたと同じ歳くらいの子供達が、沢山親に甘えてるのに、私はあなたに甘えさせることが出来ない。
会っても、帰り道あなたが余計寂しくなると思ったから。
会いに来てくれても、会わないまま帰れば、そのときは悲しくても、ずっと会わなければその気持ちも薄れると思ったから。
なんて言えばいいのかな……
私は、刑務所から出たとき、今まで空いてた私達の時間を、そのとき埋めたかったの。
中途半端に会ったりしないで、ずーっと一緒にいられる時間。
私はそれを待ってたの。