セナの冒険





“私の息子 ロイドへ



久しぶり。


…あなたの記憶に私は居ないだろうから、はじめましてかしら?


あなたに手紙を書くのなんて初めてで、正直どう書けばいいのかわからないわ。

あなたが今この手紙を読んでるなら、もう私はあなたに会ったのね。

あなたが、いつこれを読んでくれるかはわからないけど…。



まず最初に、ごめんなさい。

あなたは何度も訪ねて来てくれたのに、私は一度も顔を見せなかった。

本当は、会いたかったの。
すごく。
この手で抱きしめたかった。
どれだけ成長したか、見たかった。
色んな話を聞きたかった。

でも会えなかった。

他のあなたと同じ歳くらいの子供達が、沢山親に甘えてるのに、私はあなたに甘えさせることが出来ない。

会っても、帰り道あなたが余計寂しくなると思ったから。

会いに来てくれても、会わないまま帰れば、そのときは悲しくても、ずっと会わなければその気持ちも薄れると思ったから。


なんて言えばいいのかな……

私は、刑務所から出たとき、今まで空いてた私達の時間を、そのとき埋めたかったの。

中途半端に会ったりしないで、ずーっと一緒にいられる時間。

私はそれを待ってたの。




< 136 / 299 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop