セナの冒険
あなたは知らないと思うけど、私ね。
本当は10年経てば出られるはずだったの。
だけどね、うまくいかないもんなのよね。
なかなか出る事が出来ないまま、有罪ってことになっちゃって、あなたに会いに行く次の日には公開処刑が決まっちゃった。
ごめんね。
ずっと計画してた、あなたとの時間のこと、全部水の泡になっちゃった。
こんなことなら、つまらない意地張らないで、会っておけば良かったよ。
今更遅いよね……。
あなたとは全然話も出来なかったね。
今こうして、私の言いたいことを書いてるけど、あなたのお父さんの話もしたいの。
あなたが生まれてすぐ、お父さんは殺されちゃったから、理由以外何も知らないでしょ。
あなたのお父さんは魔族でね。
それは知ってるよね?
魔族の中の長で、人間よりも人間らしい人だった。
誰よりも優しくて、叱るべきところは叱ってくれて、本当に素晴らしい人だったのよ。
綺麗な紫色の髪と、吸い込まれる様な金色の瞳が特徴的でね、森で迷ったとき助けてくれて、二人とも一目惚れ。
それからは誰にも内緒で会ったりして、どんどん仲良くなったわ。
そして…あなたが生まれたの。