セナの冒険
「ああ……ちょっと寝てくるわ」
「数時間前に起きたばっかりなのに?」
「ロイドには今夜操舵室で見張っててもらうからさ」
「そういうこと。じゃ、おやすみ」
アイクの言葉にロイドは頷き、欠伸をしながら寝室へと向かった。
「見張りって………もしかして、危険空域とやら…?」
「いや、まだそこには入らない。ただ、夜は昼より何かと危ないから。日替わりで見張る事にしたんだ」
「じゃあ、明日はアイク?」
「そう」
「俺も見張るよ!!男ん中で俺一人だけ何もしないって、俺のプライドが許さねー!!」
カズキ……
プライドなんかあったの?
知らなかったわ〜…
「気持ちはありがたいけど、ハンターでもないし…。昼はまだしも、夜一人で見張らせるわけにはいかない」
「でも俺だけ楽するのは悪いだろ!!俺だってそれなりの実力はある!!だから…!」
「ダメだ。いいか?カズキ。見張りには、この船に乗ってる人全員の命が懸かってるんだぞ。それなりの実力があると言っても、俺はそれを知らない。実績があるなら信用出来るが、無いだろ?ロイドはマスターランクと言う事で実力がわかってるし、俺より力がある。カズキは違うだろ?仮に俺より実力があったとする。でも、この世界に来たばかりのあんたが、未知のトラブルに遭遇したらどうするんだ?咄嗟に対応できるのか?見張りにはそれだけ重大な責任があるんだ」
「……!!」
「…この世界は、あんたが思ってるより甘くないと思うぞ」
「………わかった」
………そっか。
見張りって言うのはそれほど重要な役割なんだ。
まだこの世界に来て間もないカズキに、
そうそう託せる役目じゃないよね。
それにしても……
こんな厳しい表情のアイクと真剣な眼をしてるカズキ、初めて見た…
綺麗な顔立ちしてるだけに、アイクが厳しい顔すると迫力がある。
ロビーは何ともいえない空気が漂い、私とサーシャはお互い気まずい思いで目を合わせた。