セナの冒険
「この、世界には…遠い昔から、女神さまが、いました…」
カズキが字を指でなぞりながら、たどたどしく読み上げる。
「ある日…光の、女神さまが、人間界に、人間のようすを、見に行きました」
題名がなかったから分からなかったけど、これお伽話か…。
次のページをめくると、またフローゼアと、綺麗に描かれた悲しそうな数人の女の人。
背中に…羽?
トンボに似た、透明で綺麗な羽がついてる。
もしかして…
「妖精?」
「ぽいな…」
カズキが言い終わる頃には、また絵以外何も書いてなかったページに、字が浮き出てきた。
「どうなってんの?これ…」
「…さっきもだけど、絵を当てると字が出てくるとか?」
「なにそれ。クイズじゃん」
「確かに…。魔法がかかった子供向けのクイズお伽話の絵本とか?」
「なにそれ。聞いたことないよ」
「俺も」
カズキはヘラッと笑いながら首を傾げた。
なんかよくわかんないけど、
もしかしたらそうかもねぇ…。
ヴィクトリアのことだし、
ありそうだよね、そういうの。