セナの冒険
「それもそうですが…ヴィクトリアは私達が生きてゆけない程汚れてはいません。むしろ綺麗です」
「じゃあ何でですか?」
「色々な意味で、です」
詳しく説明を求めようとすると、長老は寂しそうな顔をして少し俯いたので、これ以上はダメだと判断し、尋ねるのを止めた。
「――確か妖精族は、人間から酷い差別にあってた」
「何で知ってんだよ、アイク?」
「昔何かの本で読んだんだよ。羽が付いてる事に人間が文句をつけて、詳しくはわかんないけどとにかく酷かったらしい。“神の失敗作”と言って、人間に歯向かう妖精を拷問したり…。妖精は人間より力は弱かったからな…」
「ひっでえ!!何でそんなことすんだよ!?」
「自分達には無いものがあるから、妬んだんだろ。醜いな、人間は」
しかめっつらをしたロイドやカズキ、悲しそうな顔をしたアイクの会話が聞こえてきた。
………そうだったんだ。
どこの世界でも、人種差別はあるんだ…
違う世界で生まれたとは言え、やっぱり申し訳ない気持ちになった。