セナの冒険
「ど、どう言う事ですか?」
私が尋ねると、長老はクリスタルの中の妖精を見つめながら話し始めた。
「――このクリスタルの中の彼女はラミア、時の番人です。彼女が手にしているのは時の宝玉」
「やっぱそうか」
「でも何で彼女が?」
後ろでロイドとアイクの声が聞こえた。
「え?でも、宝玉って女神が持つ物じゃないんですか?それに…何でラミアさんが持てるんですか?」
私は再び尋ねた。
「時の女神、リゼア様は行方を消す少し前に妖精界へいらっしゃいました。あの方は未来を予知する力をお持ちになられていて、詳しい説明はされませんでしたが、時の番人であり、信頼が高いラミアに宝玉を託していかれたのです。何故持てるか、それは彼女の心に1ミリの汚れもないからです」
汚れ…?
汚れがあると宝玉に触れることができないの?
ってことは、私は100年に一人生まれるか生まれないかの、汚れを持たない人間ってこと?
…ちょっと買いかぶりすぎでしょ。
まあ、勝手な推測だけど。
それにしても、未来を予知する力…?
「先の事が分かるなら、どうしてこうなることを防げなかったのですか?」
私が思った事を、サーシャが口にしてくれた。
「リゼア様には、未来を予知する能力はおありになっても、それを阻止する様な力はお持ちになられていません。世界を見守る事が女神の役目であり、自分の身を守る事は自分では出来ないのです。あくまでも、この世界を見守る為におられる存在ですから」
「…でも、結局は世界の為にも良くない結果になってしまいましたね」
サーシャが呟くと、長老は寂しげに頷いた。