セナの冒険
な、なんでロイドが…
え…?何?
なんで倒れてんの?
「ロイド、セナ!!大丈夫!?」
駆け寄って来るサーシャの声で、私は我に返った。
「ロイド!背中見せて!」
サーシャは私達の元へ来ると、急いでロイドを俯せにした。
「!!」
「大変!これは深いわ…!急いで治癒しなきゃ……」
――驚愕だった。
ロイドの背中には、爪でえぐられたような深く大きな3つの傷があった。
………ひどい……
血まみれ………
……私だ。
私のせいで………
私がボケボケしてるから、ロイドが………!
死んじゃう!
ロイドが死んじゃうよ!!
「いやあぁああぁあぁああぁあ!!」
「セナ!!」
「いやあぁあぁあぁあロイド!!!死んじゃ…うよ……!!いやっ!!死なないで死なないで!!」
「セナ落ち着いて!!そんな揺すったら治るものも治らなくなるわ!!大丈夫だから!!私が治すから!!」
サーシャが必死に私のロイドを揺らす手を制すが、もう何だか止まらない。
「いやいやいやいやいやいやあああ!!」
「セナ!!落ち着けよ!!」
「!?」
いきなり後ろから、だれかに抱きしめられた。
「大丈夫だから!な?」
――カズキだった。
「…カズキ……!」
「ロイドは死なねぇよ。あんなんであいつが死ぬわけねえだろ?サーシャに任せときゃ大丈夫だって!今はあの恐竜だろ!?」
なんでだろう…
サーシャの声には全然反応出来なかったのに、カズキの声は素直に耳に入る…。
「……うん」
「な」
カズキは優しく頭を撫でてくれ、なんとか私は落ち着きを取り戻した。