セナの冒険
「大丈夫よ、セナ。ヘラさんは本当に治癒能力に優れていて、ロイドのあんなに深かった傷も、ヘラさんがほとんど綺麗に治してくれたんだから」
「多少傷痕は残ってしまったがの」
優しく私に言うサーシャと、申し訳なさそうに頭を掻くおじいさん。
「まあでもちょっとぐらい傷痕が残ってた方がかっけーだろ!!ロイドだって気にしねーよそんなの!なあ、そうだろ?セナ!」
「そうかの?」
明るく笑って、少ししょんぼりしたおじいさんを慰めるカズキ。
私のこと、励まそうとしてくれてるんだね。
自分達だってロイドのことが心配なはずなのに。
いつまでも落ち込んでるわけにいかないし、明日起きるって言ってるんだから大丈夫!
私は感謝の気持ちを込めた意味で、笑顔で「そうだね」と答えた。
――コンコン。
再び、部屋の扉がノックされる。
誰だろう?
また長老かな?
「はーい、どうぞ」
サーシャが小走りで扉を開けに行った。