セナの冒険
それから相も変わらず美味しいチトの料理を食べ終え、ロイドの部屋へ戻る。
カズキやアイクは修行だとか言って外の森へ行き、サーシャはおじいさんに治癒魔法を教わるらしく、誘われたけど私は待ってることにした。
だって、目が覚めたときに誰もいないって寂しいじゃん?
バスケットの中に用意されていた、温かく微かにいいにおいがする濡れタオルを使い、ロイドの顔やら腕やらを拭きはじめると、扉をノックする音が聞こえた。
「はーい」
「あ…すいません、チトです。失礼します」
「チト?どうしたの?」
ゆっくり扉を押し開けるチトの手には、大きなフラスコの様な形のビンが持たれていた。
「なにそれ?」
「傷に塗るお薬です。今、ヘラさんは手が離せない様なのでもって来ました。でも、僕は塗ることができないので…セナさん、お願いできますか?」
「ああ、全然いいよ!」
そりゃあ見えなきゃ塗れないもんね。
私はロイドをひっくり返し、俯せにさせる。
てゆか、ロイドって結構重い……
まあ身長あるし筋肉もあるもんね。