セナの冒険
「父と母は…家で寝てます」
少し沈黙が訪れたあと、チトは答えた。
「え?寝てるって…ロイドみたいに…だよね?」
「…ええ、そうです。…そうだ。今度皆さんで、町を少し回ってみたらどうですか?」
「え?町…?」
町なんてあるんだ?
ま…なかったらちょっと…ってゆーか、かなりおかしいよね。
「そうです。妖精界自体がひとつの陸、国の様なものですから、当然町も広いので回りきれないと思いますけど…言ってくださればお城の門をあけますから」
チトは塗り終えた薬瓶を受け取りながら言った。
「では、僕はこれで失礼します。また昼食の時間にお呼びしますね」
「あっありがとうね、チト!」
チトはにっこり微笑みながら部屋から出て行った。
ロイドを見ると、こちらに背を向けて寝ている。
お…横にスペース発見!
ねちゃお!!
することもなく暇だった私は、ロイドの隣に滑り込む。
「えへへ…ロイドの背中あったかぁ〜」
言ってから自分がにやけてること、今発した独り言の気持ち悪さに気付き、誰にも聞かれてないとわかっていても少し恥ずかしくなった。
……そっかぁ……
チト…つらいんだね……
何か力になれないかなぁ…
町はロイドが目覚めたら
皆で行こう…
それにしても、このお城といい、最初に船から見た妖精界の景色、雰囲気…
やけにさみしい感じがするんだけど、町はどうなってるんだろう。
私の妖精のイメージは、春!!桜!!春風!!って感じだけど…やっぱ思い込みだよねそんなの。
だってゲームの影響だし(笑)
そんなこんなで色々考えてたら、全然眠れないままお昼に呼ばれることになった。