セナの冒険
「チトー!!」
ちょうど自分の部屋から出て来たチトに、手を振りながら駆け寄る。
「あっ、セナさん。どうかしたんですか?」
「実はね…!ほらっ!!」
私は斜め後ろにいるロイドに向け両手で指をさす。
「…?そこに、なにかあるんですか?」
チトは目を細くしながら、じっとロイドが立っている場所を見つめる。
「…おい。俺の姿が見えねぇんじゃなかったのか?」
…はっ
「そ…そうだった…」
嬉しさのあまり、見えないってこと忘れてた…
「セナさん?」
「ご…ごめん!実はね!」
「――あ!! まさか…ロイドさん…ですか!?」
「!! そう!そうなの!やっと目が覚めたんだよ!!」
「おっ…おめでとうございます!!僕、約束通りご馳走つくってきます!!」
チトは目を輝かせながら私と見えないロイドに向かいバッとお辞儀をすると、軽やかな足取りであっという間に去って行った。