セナの冒険
「さて……食事が出来上がるまで、どうしましょうか?」
二人の背中を見送ったところで、サーシャが切り出す。
「そうだなぁ…うーん……どうしよっか?」
「俺はちょっと図書館へ行ってくる」
「図書館?いってらっしゃい」
アイクは手をひらひら振りながら廊下を歩いていく。
「図書館なんてお城の中にあるんだね」
「あら、知らなかった?妖精界の歴史とか妖精の扱う治癒魔法の技術とか、為になるものばかりあるのよ」
「へえ〜!私も行ってみ」ドドーーーーン!!!!
………え?
「な…何の音……?まさか、また…魔物…!?」
「いいえ。…カズキとロイドね。かすかにカズキの悲鳴がきこえたもの」
サーシャはやれやれといった感じに肩を竦めた。
「なんだ、カズキかあ…」
また魔物襲撃かと思って焦ったよ…
魔物じゃなくてほんとよかった…
なんて言ったらカズキに失礼か(笑)
「…カズキ、大丈夫かな。不死身ぽいから大丈夫だろうけど」
私がボソッと呟くと、サーシャはクスッと笑い、
「一応私、手当てしてくるわね」
と言い残し、小走りで二人の元へ向かった。
「サーシャ……なんか、うれしそう…?」
笑ったときのサーシャはなんだかすごく可愛くて、恋する乙女という言葉を連想させた。
…ん?
……恋する乙女?
カズキに?
サーシャが…?
「まっさかね〜……」
私は自分の思考回路を鼻で笑い飛ばした後、ふとチトのことを思いだし、食事の支度を手伝うため調理場へと歩を進めた。