Dear...
その問いに、顔を見合わせて答える。
「思わないけど?」
「でも残念ながら、周りの方、少なくとも私は思ってるんですよね」
外見とは違って、とても凛とした姿。
さっきまで新聞を読んでいたサラリーマンも、他の学校の生徒たちまでもが彼女を見ている。
「君もうっざいねー、可愛いのに」
と、彼女の顔に手を伸ばす。それを払う彼女。
「汚い手で触んなよ」
そう言って、上を見上げる。
「ほら、降りてくださいよ」
どうやら、彼らが降りる駅らしい。
舌打ちをすると、ぞろぞろと電車を降りていった。

「今時珍しいなー」
なんてさっきのサラリーマンたちが話している。
そんな声も気にしないかのように、彼女は先ほどのお婆さんに席を譲った。

「どうもありがとうございます」
「いいえ、どういたしまして」

すごい、かっこいい・・・。
と思って見ていると、案の定視線が合ってしまった。
「さっき、大丈夫だった?」
雑誌のモデルさんみたいな、綺麗な顔。
「はい、大丈夫です」
恥ずかしくなって目をそらすと、わたしの格好を見た。
「見ない制服だよね、どこ高?」
「いえ、私、今日から転校してきて・・・」
次の駅で降りなきゃ、と言う。
「じゃあ、あたしと学校一緒じゃない?」
「女子高ですか?」
そうそう、と彼女は笑う。
良かった・・・。友達が出来た。

それが、未来ちゃんとの出会い。

今でも忘れない、ずっとずっと忘れない・・・・。




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