Dear...
「じゃあ一緒に行こうか」
茶色い長い髪を揺らしながら、電車を降り、改札を抜ける。
人が多い・・・と思いながら、彼女の姿を見失わないように必死だった。
「そういえば名前」
改札を抜けて人ごみもひと段落すると、彼女は言った。
「あたし古井未来。君は?」
フルイミライ・・・?
そのちょっと不自然な名前に笑いそうになりながらも、
「わたし・・・今野加胡です」と言う。
驚いた顔をする。そりゃそうだよね・・・。

「すごいねー、イマノカコかぁ!」
「ふふ、フルイミライ」
正反対の名前だ、と笑いながら道を歩く。
「あ、そうだ・・・」
バッグから携帯を取り出す。
「学年違うとあれだから、アドレス、交換しませんか?」
振り返って、未来ちゃんも携帯を取り出す。
「あたし一年だよー、カコちゃんは?」
「あ、わたしもです!」
じゃあ、赤外線しよっかーと言う。
「来た来た、メール送るね」
うん、と言いメールを待っていると、空の写真が送られてきた。
「これね、いいでしょー」
虹がかかった空の写真。
「それ待ち受けにしてるといいことあるんだよ、あたしが撮ったやつだけど」
そうなんだ・・・、とつぶやく。
「ほら、着いた」

設定をしたり色々していると、学校に着いた。
久しぶりの、この空間。
息が苦しくなる、この感じ。
場所が変わっても、思い出は変わらない。
学校なんて、大嫌いだって。
正反対のわたしたちでも、共通するところはあったね。







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