Dear...

「うるせーなぁ、誰だよ」
キーンという音が教室に響く。
「未来が呼び出されたりして」
「まさか、あたしなんもしてないよ」
笑って放送を聞く。

『えー、一年五組の古井未来、職員室へ来てください。えー繰り返します･･･』

「うっそ、大当たり」
はぁ？という声が出る。
教室の女子があたしの元に駆け寄ってくる。
「また未来なんかやったの？」
「やってないよ、安心して」
そう言うと、安心しきったかのように席へ戻っていく。

「未来ちゃん･･･」
不安そうなカコ。
「あたし、いっつもなんだよね」
大丈夫だって、と笑う。
「かこっちゃん、未来はお努めがあるから、あたしと話してよう」
明日香が椅子を持ってきてカコの隣に座る。
「ありがとう、ごめんね」
明日香が居るのなら、五十嵐も手出しは出来ないはず。
「ううん、大丈夫よん♪ねーかこっちゃん」
名前を書いていたカコが顔を上げる。
「あ、はい！」

「しゃーないな、行ってくるか」
席を立つと、もう一度クラスの女子が集まってくる。
「気をつけてくださいね･･･」
「あぁ、うん」
カコにも手を振る。すると『あいつ』と目が合った。
そのまま見続けていると、いつの間にかそらされた。

だるいなぁ、そう思って職員室へと向かった。