Dear...
普通に戻ったとしても。
過去はいつだって目の前にある。
消したくて、消えなくて。
ノートに書いた落書きみたいに、
簡単に消せることが出来るなら。
少しはこの思いも薄れていくだろう。

だけど・・・。
『今日来た転校生』
『中学の頃不登校だったらしいな』
さっきの言葉が頭に残る。

誰もみんな、癒えない傷を負っているのかな。

大きな溜め息に全部吐き出してしまいたい。
そんな思いに囚われながらも、教室へと足を進めた。

教室へ帰ると、一番にカコと明日香がやって来た。
「お帰り、遅かったね」
教室の時計に目をやると、授業は終了している。
「うん、ごめん」
そして、それを黙って見つめるカコ。
「あ、カコ」
「おかえりなさい」
「うん」
無理やりに笑って見せると、カコも笑った。

「・・・あとであんたに話しあるから」
腕を引っ張り、あたしにそう言ったのは明日香。
「何?」
背を向けてると、カコは不思議そうにしている。
「かこっちゃんのこと」
カコのこと?あたしが問うとただ頷いた。

なんだろう?
不思議に感じながらも、その話に頷くしかなかった。


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