【完】ヤンキー女→清楚女『逆高校デビュー』
ずっと小島を見ていたら、
小島の席のそばに女が立って小島が見えなくなった。
そこの女………どけっ
眼力で人間をどかせるわけないのに
ぐいぐいと黒目を動かして女を動かそうとした。
「桃叶?ちょっと…」
真理に肩を叩かれた。
「あ…ごめん…続き気になるね…」
「うん…ごめんね。
私こそ、いつも自分の話しばかりしちゃって…
ね、桃叶の彼氏ってどんな人?」
彼氏???
なぜすでにいる事になっている??
「彼氏…いないけど。。
真理は?」
「いるよ。中学一緒だったんだけど、高校は違うんだ」
そうか…真理は彼氏持ちか…。
「桃叶ってほら、しょっちゅう告白されているのに、全部断ってるって聞いたから、
彼氏いるのかな…と思って。ごめんね。
じゃあ…好きな人いるの?」
好きな人…
思わず小島を見てしまった。
もう邪魔な女はいなくて、
うっかり目が合ってしまった。
小島は「よっ」と軽く手を挙げて、
またあの優しい笑顔で笑ったんだ。
昨日のチャリの事が頭の中でよみがえって、
顔面が熱い。
耳の穴からプシュ−っと湯気が出そうだ。
私は機械のようにカクカク軽く頭を下げてから、真理を見た。
「そっか…桃叶は小島くん狙いなんだね」
真理がヒソヒソ声で言った。