【完】ヤンキー女→清楚女『逆高校デビュー』
信じる女
9月
悠斗のいない新学期が始まった。
悠斗はあれからすぐに、一般病棟に移った。
夏休みは毎日会いに行った。
時々悠斗のお母さんに会ったけど、
お母さんは何も文句を言わなくなった。
悠斗のベッドは、4人部屋の窓際。
カ−テンで仕切られていたけど、
周りが気になってゆっくり話しができない。
私は毎日放課後、制服のまま悠斗の元へ行った。
悠斗はいつも私が来る時間を見計らって、
病院の最上階の展望台のベンチに座って、
私を待っていてくれた。
「よっ」
病院の淡い水色パジャマ姿の悠斗が、いつものように軽く手を挙げた。
隣に座って悠斗を見ると、
少し、顔色が悪いように感じた。
「体調…どう?」
「全然大丈夫だよ」
いつもの優しい笑顔の悠斗の顔は、青白い。
少し…痩せた……?
「ちゃんと食べてる?」
「なんだよ、母ちゃんみたいだな」
悠斗は少し嫌そうな顔をした。