【完】ヤンキー女→清楚女『逆高校デビュー』
「悠斗!!」
叫んだ私の目を見ることもなく、
悠斗の乗ったエレベーターの扉が閉まった。
ポタポタとまた涙がこぼれ落ちてきて、
その涙は家に着くまで、ずっと出っ放しだった。
家に入ると、夜勤の準備で忙しそうなママがいた。
「あ、桃叶!
悠斗くん、文化祭あたりには退院できそうだって!」
ママはうれしそうだった。
「桃叶?うれしくないの?」
不思議そうなママに、さっき言われた悠斗の言葉を話した。
「そっか…
入院生活長くなると、ストレス溜まってくるから。
悠斗くんも、いろいろあるんじゃないの?
悠斗くん、あんまり食べないみたいだし」
「悠斗顔色が悪かった。
何か変な病気とかじゃないよね?」
ママはふふふって笑った。
「あんた漫画読みすぎ。
悠斗くん、ちゃんと検査済み。健康体。考え過ぎるとこ、よくないよ〜」
そっか…よかった…
「んで、桃叶は悠斗くんになんで会いに行ってんの?
悠斗くんが言うように罪悪感?」
「違うよ!」
ママはぐ−−っとお茶を飲んだ。
「じゃ、なんで毎日毎日会いに行ってんのよ。
考えなくてもすぐにわかることでしょ?
もうじれったいなぁ!
ちゃんと捕まえとかないと、ママみたいに捨てられちゃうぞ−って
誰が捨てられたんじゃい!」
んじゃ!とママは夜勤へ行ってしまった。