【完】ヤンキー女→清楚女『逆高校デビュー』



「悠斗!!」


叫んだ私の目を見ることもなく、

悠斗の乗ったエレベーターの扉が閉まった。




ポタポタとまた涙がこぼれ落ちてきて、


その涙は家に着くまで、ずっと出っ放しだった。






家に入ると、夜勤の準備で忙しそうなママがいた。




「あ、桃叶!

悠斗くん、文化祭あたりには退院できそうだって!」

ママはうれしそうだった。



「桃叶?うれしくないの?」



不思議そうなママに、さっき言われた悠斗の言葉を話した。



「そっか…

入院生活長くなると、ストレス溜まってくるから。
悠斗くんも、いろいろあるんじゃないの?

悠斗くん、あんまり食べないみたいだし」



「悠斗顔色が悪かった。

何か変な病気とかじゃないよね?」



ママはふふふって笑った。


「あんた漫画読みすぎ。

悠斗くん、ちゃんと検査済み。健康体。考え過ぎるとこ、よくないよ〜」




そっか…よかった…




「んで、桃叶は悠斗くんになんで会いに行ってんの?

悠斗くんが言うように罪悪感?」




「違うよ!」


ママはぐ−−っとお茶を飲んだ。



「じゃ、なんで毎日毎日会いに行ってんのよ。

考えなくてもすぐにわかることでしょ?

もうじれったいなぁ!


ちゃんと捕まえとかないと、ママみたいに捨てられちゃうぞ−って

誰が捨てられたんじゃい!」


んじゃ!とママは夜勤へ行ってしまった。





< 282 / 308 >

この作品をシェア

pagetop