【完】ヤンキー女→清楚女『逆高校デビュー』
【年】 【組】と間を空けて書かれたその文字は、
少しかすれがかっていて、それがまたかっこよかった。
本当に書道部なんだと思い知らされるほど、普通の字体じゃなかった。
よくヤンキーの旗に書かれている字体ではなく、
独特な字体だった。
「この字…すごくかっこいいね」
私の好きな字だ。と言いかけてやめた。
「普通だよ。じゃ沢渡さんの番、はい」
と筆を渡された。
今まで小島が持っていたのがわかるぐらい
筆が温かかった。
小島の温もりたっぷりの筆を持って、
どうしようどうしようと
困った。
こんな素敵な文字の間に私のちんけな文字が入るのかと思うと、
そんな事はできないと思ってしまった。
「私…できないよ…」
そう言って筆を返そうとしたら
小島が私の手に自分の手を添えた。
「じゃあ、一緒に書こうか」