終学旅行
佳織は操作パネルを震える手で探り、マイク音量を上げた。
「あのっ、聞いてください!」
大きな音量の声にバスの中の目が一斉に佳織へ向いた。
鳥岡もあまりの音量にびっくりした顔をしていた。
少しマイク音量を絞ると、佳織は肩で息をしながら言う。
「落ち着いて聞いて行動してください。これから席を移動してもらいます」
眉をひそめた鳥岡と目が合うが、すぐに目線をそらして佳織は言った。
「一番後ろの席だけを空けて、みなさん後ろに詰めてお座りください。すぐに、です」
ええー!?
という生徒達の声があちこちで聞こえるが、佳織はそれに重ねるように、
「いいですか?今すぐ移動してください。すぐに、です」
そう繰り返した。
鳥岡がいぶかしげに立ち上がると、佳織の耳元で、
「・・・なんのため?」
と尋ねた。
「・・・分かりません。でも、先生も移動をしてください」
自然に額から汗がつたった。
「分かりました。・・・八木君」
鳥岡が生徒の八木の方を見る。八木はうなずくと、立ち上がり、
「さぁ、今言われたように移動をしてください。えっと、4列後ろの席に移動すればいいと思います。お願いします」
と生徒達に指示を出した。
「あのっ、聞いてください!」
大きな音量の声にバスの中の目が一斉に佳織へ向いた。
鳥岡もあまりの音量にびっくりした顔をしていた。
少しマイク音量を絞ると、佳織は肩で息をしながら言う。
「落ち着いて聞いて行動してください。これから席を移動してもらいます」
眉をひそめた鳥岡と目が合うが、すぐに目線をそらして佳織は言った。
「一番後ろの席だけを空けて、みなさん後ろに詰めてお座りください。すぐに、です」
ええー!?
という生徒達の声があちこちで聞こえるが、佳織はそれに重ねるように、
「いいですか?今すぐ移動してください。すぐに、です」
そう繰り返した。
鳥岡がいぶかしげに立ち上がると、佳織の耳元で、
「・・・なんのため?」
と尋ねた。
「・・・分かりません。でも、先生も移動をしてください」
自然に額から汗がつたった。
「分かりました。・・・八木君」
鳥岡が生徒の八木の方を見る。八木はうなずくと、立ち上がり、
「さぁ、今言われたように移動をしてください。えっと、4列後ろの席に移動すればいいと思います。お願いします」
と生徒達に指示を出した。