あの日抱きしめたキミの腕
俺はいきなりの質問に
間抜けな声をだす。
だって、俺は加奈の次に出てくる言葉は絶対
『私、繁村君のこと好きなんだ』
だと思ってたから...
「だから、中居愛理ちゃん!
隣のクラスの」
「や、知らねーけど..」
「そっか。で、その子がね、
繁村君のこと好きみたいなんだよね。
絶対秘密にしててって言われたんだけど
同じクラスだから協力するって言ったし
翔と仲いいみたいだから...」
「ああ..そう。」
なんだ...
俺は内心ホッとしてた。
俺ってやっぱ最低だな..
自分の好きな女の恋を応援する覚悟は
できてても友達の恋を応援する覚悟は
全然できてなかった...
『加奈はシゲを好きにならない』
心のどこかでそう根拠もなく
淡い期待を抱いていた。
ごめん、シゲ...
「で、お前はシゲのこと
なんとも思ってねーの?」
「はっ思ってるわけないじゃん(笑)
繁村君まず何って感じだし(笑)」
「そ...そこまで言わなくても...」
さすがにシゲがかわいそうだわ。