戯れ人共の奇談書
「おぅ、お前ら満足してもらえたかぁ?」
食べ終えた頃を見計らい、厨房から出てきたおっさん。
どうやら、このおっさんが先程から作ってくれていたようだ。
計10人前程の食事を。
「あぁ、見た目はともかく、うまかった」
「お前はがっついといて、な~に言ってやがんだ」
いい笑顔で図に乗った発言をしたロイドを小突くユェ。
「もう行くのか?」
「あぁ。立場上、長居が出来ないからな」
心底残念そうにユェは肩を竦めて見せた。
「じゃあ、そういう事だから行くな、おっさん。ごっそうさん」
「おやっさん、うまかったぜ」
「おぅ! またの来店、待ってるぜ! 馬鹿野郎!」
飛びきり大きな声を背に、二人は店を出た。
決して軽やかではない足取りで……。
「なかなか食い過ぎたな……。なんかあったらロイド、任せた」
「はぁ!? ふざけんな、お前の倍ぐらい食っちまって、動くのもやっとだバカやろう!」
「久しぶりの珍味揃いだったもんな~。ま、頑張れ、嫌でも俺が動かすから」
「ちょっと、ホント止めて……」