戯れ人共の奇談書
足に絡む蔦が邪魔をする森の中、ロイドは疾走していた。蔦が絡んでも気にしない様子で、どんどん足を速める。
「ちょっと、ロイド! 降ろしてってば!」
「うおっ、こら! 暴れんな! こうやった方が早いだろうが」
じたばたと暴れるミシティアを左手で抱え持ち、頭にはノブナガを乗せ走るロイド。
荷物があるにも限らず、草原を駆ける馬にも劣らぬ速さで森を駆け抜ける。
「ユェはまだまだ先だ。立ち止まるでないぞ」
しがみつきながらも、加えた猫じゃらしを上下に振る事は忘れないノブナガ。ついでにロイドの頭をバシバシ叩く。
「了解!」
気合いを込め、さらに速度を上げるロイド。
「ちょっと、降ーろーしーてってば、このスケベ!」
「あだっ! 今暴れたら危だっ! 危ないって!」