戯れ人共の奇談書
武器を持たないロイド。獲物を前によだれを垂らす三匹のグール。
グール達は半円になり周りを囲み、様子を窺いつつも間合いを詰めて行き、ロイドも詰め寄られた分だけ後ろへ下がる。
ただ、ロイドの表情には真剣さはあるものの、深刻さが窺えない。
幾多の修羅場をくぐり抜けたからの慣れだろうか、その表情には余裕さえも滲み出ている。
「ふっふっふ。お前ら、俺を食えると思ってるのか!」
不適に笑い、さらに余裕を見せるロイド。
そこへ背後の茂みから、もう一匹のグールが飛び出し、ロイドへと飛びかかった。
「危なっ!」
余裕の消えるロイド。紙一重で避けた。
「ふぅ……、逃げる!」
グール達に背を向け、ノブナガ達が消えた方へ走り出したロイド。その姿や脱兎の如く。