戯れ人共の奇談書
草原を颯爽と吹き抜ける風。膨れた腹。男が手にする草の袋は即席にしてはしっかりとした作りで、その中にはグールの爪や牙。上品に振舞っていたメガネのお嬢さんも、今やメガネをかけぬ学者風の男。二人の男をお供に先を歩く白衣の少女は、和やかに流れゆく雲を眺めていた。
「やっと空が見えた」
さすがにモルビルの暗さにはうんざりしていたようだ。両手を広げ、草原の空気を胸いっぱいに吸い込むミシティア。そして振り返る。
「日光浴は体のメカニズム調整に必要だからな。存分に浴びておけ」
「そうなのか? じゃあ浴びておくか」
何故か突然半裸になるロイド。デリカシーなどどこかに忘れてきたようだ。
「ちょっと~、レディがここに居るんだけど」
「細かい事は気にするなよ。なんならティアも脱ぐか?」
変態ではなく天然なロイド。デリカシーなど、どこかに忘れてきたようだ。
「脱ぐか!」
まだまだ日の高い草原を歩く三人。向かう先はどの街か。