戯れ人共の奇談書
翌日。日は真上よりやや傾き、木漏れ日の眩しい森の中。行くところなどもちろん無いユェは、太く大きな木の上で夜を明かした。
「っち、餌はなしか……。飯が草だけじゃあ足りねぇな」
ユェはある思考を巡らせる。卑劣で、今まで忌むべき者達と軽蔑していた者達と同じ思考回路。
「さすがに国は無理か。丁度いいネタはねぇかなぁ……」
ふと木の上から辺りを見渡す。下には草を食す鹿や、兎。そして――
「おいおい、本当にやるのか?」
「当たり前だ! 今まで苦労した分以上に楽が出来るんだぜ!? 俺の力を侮るな!」
「あ、あぁ……」
「とりあえず、あの王女が城を抜け出したところを狙う。いいな?」
賊と思われる八人の集団。その先頭を歩く二人の男の話しに耳を傾ける。そして一つの作戦を思いついた。
「餌、見ぃつけた」