戯れ人共の奇談書
目論む者
見慣れた石畳、潮の香り。
彼女が今暮らしている港町。
もう歌い手は舞台に上がってしまった……。
後は奏でる者等と、操る者が上がるのみ……。
歩む少女、潮風に揺れる白銀の髪。
つられて揺れる胸のリボン、短いスカート翻る。
「ん? この感じ……」
少女が感じとった物は道化師などが放つ、独特の気配。
「一瞬だけか。というと手練れの道化師……?」
しかし、いくら道化師の多い街だとしても、このご時世に街中で能力を使うベテランが居るだろうか。少女は考える。
否、もしも魔法などの公に見られる物でなかったら?
「奏演者の類……」
それは全てを操る落選者。神へ挑む犯罪者。
とりあえず、見てみないと何とも言えないか……。