戯れ人共の奇談書
「それより……、ん、これうま……。ロイド、これからどこ行くつもりなんだ?」
そのまま焼かれた巨大なウミヘビをつまみ、思わず声を漏らす。塩のみのシンプルな味付けがユェは気に入ったようだ。
「さぁな。とりあえず奏演者達の噂を聞くまではフラフラする。もしくは別の目的か仕事が入るまで」
「ったく。仕方ねぇな、お前は」
ロド(海に生息する六足歩行の両生類)の唐辛子煮や
テレノボラ(海の中に生息する蜂)の砂糖和え、
フレトルバム(海に生息する粘膜の皮膚しかない飛べない鳥)の刺身などの
ややゲテモノチックな物が並ぶテーブル。
「よくシェラの奴、これ食えたな。お嬢様育ちのあいつの割には頑張ったじゃねぇの」
顔色を変えずに食すユェは、ふとゲテモノを乗せた皿達を眺めながら漏らした。
ユェもがっつきはしないが、『食事とは腹を満たすもの』タイプのようだ。
「さすがにオレ等と旅してんだ、ゲテモノにも慣れるさ」
「そういうもんかね。ん、フレトルバムの刺身気をつけろ。小さい骨がやたら絡まって来やがる」
「んっ!? おいおいユェさんや。そういう事は先に言えって! 盛大に食……、痛ぇ!」