戯れ人共の奇談書

「それより……、ん、これうま……。ロイド、これからどこ行くつもりなんだ?」


そのまま焼かれた巨大なウミヘビをつまみ、思わず声を漏らす。塩のみのシンプルな味付けがユェは気に入ったようだ。


「さぁな。とりあえず奏演者達の噂を聞くまではフラフラする。もしくは別の目的か仕事が入るまで」


「ったく。仕方ねぇな、お前は」


ロド(海に生息する六足歩行の両生類)の唐辛子煮や

テレノボラ(海の中に生息する蜂)の砂糖和え、

フレトルバム(海に生息する粘膜の皮膚しかない飛べない鳥)の刺身などの

ややゲテモノチックな物が並ぶテーブル。



「よくシェラの奴、これ食えたな。お嬢様育ちのあいつの割には頑張ったじゃねぇの」

顔色を変えずに食すユェは、ふとゲテモノを乗せた皿達を眺めながら漏らした。


ユェもがっつきはしないが、『食事とは腹を満たすもの』タイプのようだ。


「さすがにオレ等と旅してんだ、ゲテモノにも慣れるさ」


「そういうもんかね。ん、フレトルバムの刺身気をつけろ。小さい骨がやたら絡まって来やがる」


「んっ!? おいおいユェさんや。そういう事は先に言えって! 盛大に食……、痛ぇ!」





< 8 / 62 >

この作品をシェア

pagetop