ストロベリーキャンドル


さてと...

「片付けも終わったし、部活に行こーっと」

そう言って、向かったのは音楽室。

私は合唱部に所属しているのだ。なんと、最近次のコンクールのソロに選ばれてしまった。

といっても、特別、歌がうまいわけではないと私は思ってるんだけどね。

ただの偶然、だよねぇ…

合唱部に入部したのも、歌が好きだったから。中学のときは、テニス部だったから、合唱は全くと言っていいほど初心者。

正直、こんな私で“ソロ”が務まるのか不安もすごくある。

でも、こんな大役はめったに回ってこないと思うから...

そんなわけでソロを引き受けることにしたのです♪


それよりも、私は今日からソロの練習をすることになっていた。

あがり症気味の私は“ド”がつくほど緊張してる。

「こんにちはー」

恐る恐る、音楽室のドアを開ける。と、

「おっ、来たねぇ。期待のソロ~♪」

なんともいえず、能天気そうな人が椅子に座っていた。

これでも一応先生だったりするから、私は日本の教育委員会を疑いたくてしょうがなくなる。

「相変わらず、その口調は... 気が抜けます...」

せっかく緊張感たっぷりで入ってきたのにぶち壊しだ。

「まぁまぁ、気にしない気にしない」

「気にしましょうよ...」

「えー、いいじゃない。堅苦しいのは息が詰まるよ」

「...よく教員免許取れたね...」

「え?なんか言った?」

私はすごく小さな声で呟いたのに、目ざとく聞きつける先生は地獄耳だ。

「なんでもありません」

はぁ...

合唱練習はいつまでたっても始まらない...

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